The 13th prince(プリンス・オブ・サーティーン)

第8話 エルフと人間と

★配役:♂4♀2=計6人

▼登場人物

モルドレッド=ブラックモア♂:

十六歳の聖騎士。
ブリタンゲイン五十四世の十三番目の子。
オルドネア聖教の枢機卿に「十三番目の騎士は王国に厄災をもたらす」と告げられた。
皇帝の子ながら、ただ一人『円卓の騎士』に叙されていない。

魔導具:【-救世十字架(ロンギヌス)-】

パーシヴァル=ブリタンゲイン♂
十七歳の宮廷魔導師。
ブリタンゲイン五十四世の十一番目の子。
『円卓の騎士』の一人で、陸軍魔導師団の一員。
お調子者の少年だが、宮廷魔導師だけあって知識量はかなりのもの。

魔導具:【-自在なる叡知(アヴァロン)-】
魔導系統:【-元素魔法(エレメンタル)-】

ラーライラ=ムーンストーン♀
二十七歳の樹霊使い(ドルイド)(外見年齢は十三歳程度)。
トゥルードの森に住むエルフの部族『ムーンストーン族』の一員。
人間の父と、エルフの母のあいだに生まれたハーフエルフ。
『ムーンストーン族』のエルフには見られない青髪と碧眼は、父親譲りのもの。

父親が魔因子を持たない人間だったので、〈魔心臓〉しか受け継がなかった。
エルフながら魔法を使うためには、魔導具の補助が必要である。

魔導具:【-緑の花冠(フェアリー・ディアナ)-】
魔導系統:【-樹霊喚起歌(ネモレンシス)-】

クーサリオン=ムーンストーン♂
百五十一歳のエルフの樹霊使い(ドルイド)(外見年齢は二十代後半〜三十代前半)。
トゥルードの森に住むエルフの部族『ムーンストーン族』の族長。
ラーライラの母の兄で、ラーライラの伯父に当たる。

エルフは、現代では珍しい完全な魔因子を持つ種族。
魔力を生成する〈魔心臓〉のみならず、額に魔法を使うための〈魔晶核〉を有する。

ジェイク=ベレス♂
ラーライラの父親。フリーランスの傭兵。
エレンウェと出会った三十五年前、二十代前半だった。
現在は消息不明。

エレンウェ=ムーンストーン♀
エルフの樹霊使い(ドルイド)
ラーライラの母親で、クーサリオンの妹。
ジェイクと結ばれ、ラーライラを授かるが、魔晶核を狙う魔導師に殺害された。
ジェイクと出会った当時で八十四歳。
人間では十代後半〜二十代前半に当たる。

※セリフ一言だけです。被り推奨。性別不問。
エルフの子供:
エルフの親:


※注意
・ルビの振ってある漢字は、ルビを読んでください。
・特定のルビのない漢字は、そのまま読んでください。



□1/神樹の幹から出た二人

パーシヴァル:うーん! 『神樹の雫』効くなぁ。
       色々あって頭ヘロヘロだったけど、朝のコーヒー飲んだ後みたいにスッキリ!
       今のおいらなら、一晩で論文三本ぐらい書けそうだよ。

       いいなぁ、『神樹の雫』。
       おいらのうちに、定期的に送ってくれないかな。

モルドレッド:…………・

パーシヴァル:どしたの、モル?
         元気ないね。

モルドレッド:いや、ちょっと考え事をしていただけだ。

パーシヴァル:ああ〜、ラーライラのことね。

モルドレッド:――!

パーシヴァル:どうする? 謝りに行くなら付き合うよ。

モルドレッド:謝る!?
        何故俺が悪いことになっているんだ!

パーシヴァル:だって泣かせちゃったじゃん。

モルドレッド:泣けばいいという問題ではない!
        あの甘ったれた女に、いかに自分が恵まれているか、
        その現実を叩き込んでやっただけだ!

クーサリオン:甘ったれ、か。
         育ての親としては耳が痛い。

パーシヴァル:あ、族長さん。

モルドレッド:…………

クーサリオン:そう身構えないでください。
        些細な喧嘩に目くじらを立てはしませんよ。

        よろしければ、ラーライラの話を聞かせてくれませんか。
        私はもっとあの子のことを知りたいのです。


□2/月夜を映す森の泉


ラーライラ:青い髪……蒼い眼。
       魔晶核の欠けた私……


□2a/十五年前〜森の片隅〜


エルフの子供:種に眠りし、緑の命。
         揺り篭の殻を破り、産声の芽を吹かせ――
         えいっ!

エルフの親:――よく出来た。
        これでお前もドルイドの仲間入りだ。

エルフの子供:えへへ。

(親子の様子を遠くから眺めているラーライラ)
(膝小僧を抱えた三角座りで、つるりとした額をさする)

ラーライラ:……どうしてわたしのおでこには、何もないの。
       みんなどんどんドルイドになっていくのに、わたしだけおいてけぼり。

ジェイク:……ラーライラ。

(感嘆に震え、どこか泣いているような声)
(後ろの樹陰から、襤褸同然の外套を纏った中年男が現れた)

ラーライラ:ニンゲン……?

クーサリオン:怖がらなくていい。
         彼は客人だ。
         私と、そしてお前の。

ラーライラ:わたしの?

ジェイク:大きくなったな……
      エレンウェの面影が出てきた……

      ラーライラ、今年幾つになる?

ラーライラ:じゅうにさい。

ジェイク:十二歳?
      ……ああ、そうか。
      エルフは人間より、だいぶ成長が遅いんだった。

ラーライラ:おじさん、だれ?

ジェイク:おじさんは――……
      君の……お母さんの古い知り合いだよ。

      ラーライラ、これをあげよう。
      君のお母さんからの預かり物だ。

(中年男の乾燥した手が、ラーライラの頭に花の冠を被せる)
(純潔の白を象徴する花の中央に、魔晶核が緑の輝きを湛えていた)

ラーライラ:これなあに?
       このまんなかの宝石……族長さまや、みんなのおでこにあるもの?

クーサリオン:ラーライラ、この種を芽吹かせてみなさい。

ラーライラ:えっ?
      でもぉ……

クーサリオン:お前が隠れて樹齢喚起歌(ネモレンシス)を練習していることは知っている。
        今ならば、出来るはずだ――試してごらん。

ラーライラ:う、うん……

       種にねむりし、緑のいのち。
       ゆりかごのカラを破り、うぶ声の芽をふかせ……

(花冠の魔晶核が薄らと光り、ラーライラの手の平に乗った種も呼応した)
(殻が破れ、内側から瑞々しい緑の芽が出た)

ジェイク:おおっ……

ラーライラ:……できた。

      ――族長さま、できた!

ジェイク:ああ……エレンウェ……
     十年……十年掛かった……
     やっとお前を娘と会わせることが出来た……

クーサリオン:よく出来た、ラーライラ。
         お前もドルイドの仲間入りだ。

ラーライラ:ありがとう族長さま!

クーサリオン:お礼なら私にではなく――
         お前に魔晶核をくれた、そこの人にしなさい。

ラーライラ:うん。
       ありがとう、おじさん。
       わたし、とってもうれしい。

ジェイク:……ラーライラ。

      ラーライラ!!

(感極まった半泣き顔で、ジェイクは小さなラーライラを抱き締める)

ラーライラ:おじさん!?

ジェイク:すまない……
      驚かせてしまった。

ラーライラ:……おじさん、髪、青いね。

ジェイク:ああ……
      ラーライラは自分の髪は好きかい?

ラーライラ:きらいよ。
      みんなとおなじ緑の髪になりたい。

ジェイク:そうか……
      いつかその青い髪も好きになってくれると嬉しいよ。

ラーライラ:おじさんは青い髪がすきなの?

ジェイク:いいや……
      青い髪じゃなくて、髪の青いラーライラが好きなんだ。

ラーライラ:どうして?

ジェイク:……それが親だからだよ、ラーライラ。


□2b/森の泉、俯くラーライラ


ラーライラ:青い髪……
       あの頃からずっと嫌いなまま。

       背が高いのも、手足が太いのも……
       人間らしい部分は、全部コンプレックス……

ラーライラ:無理よ。
       私は私を好きになれない。

       私を嫌いにしたあなたも嫌い。
       父さん……

(ふと、ラーライラは親譲りの長い耳を動かす)
(真下の深い地底から、低い地鳴りが徐々に上ってくる)

ラーライラ:地震……!?

(泉の水辺近くの地面が割れ、土の小山が盛り上がる)
(土くれを払い落として現れた鉤爪がラーライラを掴んだ)

ラーライラ:きゃ――
      きゃああああああああっっ!!!

(森の樹上に届く高さまで急浮上するラーライラ)
(月明かりが照らし出したのは、爬虫類の横顔)
(夜の森に、肉食獣の唸り声が響き渡っていた)


□3/爽やかな樟脳油の香気が漂い、静謐の満ちたエルフの里



モルドレッド:話は聞いていたが、未だに信じられん……

(月明かりに緑葉が薄黄色く染められ、神秘を醸し出す)
(月桂樹が、原っぱに小さな樹林となって群生していた)

クーサリオン:私たちムーンストーン族は、身を休めるときに植物に変じるのです。
         だから雨風も、夏の暑さも冬の寒さも、さほど煩わしいものではありません。

(森から出てきた女エルフが、月光浴を楽しむかのように両手を広げる)
(細い指先が節くれ立ち、堅い樹皮に変わり、緑の若葉が芽吹いていく)
(まばたきする間に、女エルフは一本の月桂樹に変じ、地面に根を張った)

パーシヴァル:そりゃあ、家を建てるって発想は浮かばないよね。

モルドレッド:発明を生むのは不便さ、ということか。

クーサリオン:先の経緯(いきさつ)はわかりました。
        モルドレッド殿。
        あなたが気に病むことはありません。

モルドレッド:そうでしょう!
        理解していただけて幸いです。

クーサリオン:…………

        ラーライラは、ハーフエルフです。
        周りのエルフと違う――
        そんな思いを何度もしてきたのでしょう。

        私の知らないところで、いくつもコンプレックスを抱えているようだ。

モルドレッド:コンプレックス、か……

パーシヴァル:ハーフエルフだから苛められたとか?

クーサリオン:私たちムーンストーン族は血統を重んじますが、それはエルフの特性を強く保つため。
        人間を差別する風習はありませんし、ラーライラが苛められたという話も聞きません。

モルドレッド:原因は周囲ではなく、あいつ自身のものか。
        髪の色が違うとか、どうせその程度だろう。

クーサリオン:…………

        人間とエルフを比較すると、人間は早熟、エルフは晩成の成長傾向にある。
        ハーフエルフは両者の中間です。

        ラーライラは、今年で二十七歳――

モルドレッド:俺たちより年上だったのか……

パーシヴァル:とっくに子供もいる年齢だよね。

クーサリオン:しかし、エルフで三十前後といえば幼年期に当たる。

        そこの背の低い月桂樹――
        エルフの三十歳はこのくらいの大きさなのです。

パーシヴァル:要するにラーライラは、周りのみんながまだ子供なのに、
         一人だけ大人になりかかってるってことだね?

クーサリオン:ご明察です、パーシヴァル殿。

         あの子だけがたった一人、
         異なる人種に囲まれ、異なる能力を見せつけられ、異なる時間の流れを生きている。
         それはどれだけ孤独だったのだろう。
         私は軽々しく気にするな≠ニは言えなかった――……

モルドレッド:…………

クーサリオン:よろしければ、聞いてもらえませんか。
        とある人間とエルフの物語を――
        ラーライラのことを――


□3a/三十五年前〜雪解け水が早春の光を宿す森の中〜


(トゥルードの森にそびえ立つ樹齢五百年の老木)
(温かな木の香りに満たされた根本の洞から、呻き声が漏れてくる)
(落ち葉の上に寝かされた人間の前にかがみ込み、世話をするエルフの姿があった)


ジェイク:ここは……?
     うっ……!

エレンウェ:動かないで。
       あなたは大怪我をして倒れていた。
       左足の骨折。内臓損傷。
       あと少し発見が遅かったら死んでいた。

ジェイク:あんたは……エルフか。
     タイガーズアイ族か?

エレンウェ:ムーンストーン族。

ジェイク:……俺はジェイク。フリーランスの傭兵をやっている。
     タイガーズアイ族のエルフの案内で、人食い熊を退治しにきた。
     人食い熊は倒したんだが、ダークエルフに襲われて……

エレンウェ:そう……

ジェイク:あんたがムーンストーン族で安心した。

エレンウェ:食べる物、持ってくる。

(大樹の根本の洞から出るエレンウェ)

クーサリオン:エレンウェ。

エレンウェ:わかってる。

クーサリオン:ムーンストーン族は、中立を貫く。
        エルフに対しても、人間に対しても。  

エレンウェ:ムーンストーン族は無関係。
       私一人が助けてるだけ。

クーサリオン:――深入りはするなよ、妹よ。

エレンウェ:わかってる、兄さん。


□三十三年前〜真夏の陽射しの木洩れ日が注ぐ下で〜


クーサリオン:エレンウェ。

エレンウェ:……!

クーサリオン:エレンウェ!

エレンウェ:……噂の通り。

クーサリオン:やはりそうだったのか……

エレンウェ:ジェイクは、私を訪ねてきてくれる。
       怪我が治ってからもずっと。一年以上。

クーサリオン:皆から話は聞いていた。

エレンウェ:私はジェイクが好き。

クーサリオン:今はいい。
        お前は瑞々(みずみず)しい若木の時。人間の男も緑深まる若草だ。

        しかし、人間の季節はエルフに比べてあまりに短い。
        輝ける夏は瞬く間に終わり、秋の黄昏(たそがれ)へ移り変わる。
        お前が夏を迎える頃には、人間は枯れ草へ朽ち果てている。

エレンウェ:そんなことわかってる。

クーサリオン:人間とエルフでは、時間の流れが違う。
        木に咲いた雌花は、草に咲いた雄花とは添い遂げられぬのだ。

エレンウェ:でも――
       ジェイクの種なら宿せる。(はぐく)んでいける。

クーサリオン:まさかエレンウェ――

エレンウェ:兄さんには関係ない。

クーサリオン:……本気なのか?

エレンウェ:本気よ。

クーサリオン:……エレンウェ!

エレンウェ:……私は本気。

クーサリオン:……わかった。
       もうお前を引き止めはしない。

エレンウェ:……兄さん。

クーサリオン:しかしムーンストーン族は、人間と暮らすお前を受け入れられない。
        私の告げた意味は、わかるな。

エレンウェ:エルフとして生きるか、人間の妻として生きるか――

クーサリオン:今ならば、お前の腹に宿った苗を刈り取ることも出来よう。
        ……私はお前をエルフだと信じている。

エレンウェ:兄さん、私……

       ジェイク……赤ちゃん……


□3b/三十一年前〜冷たい風が紅葉を攫う晩秋〜


ジェイク:エレンウェ、大丈夫か?

エレンウェ:うん、大丈夫。

ジェイク:辛かったら言えよ。
     無理するんじゃねえぞ。

エレンウェ:うん。

ジェイク:にしても、酷すぎる。
     身重の妹を追い出すたぁ、正気かよ。

エレンウェ:私たちエルフは、古代人の特徴を色濃く残す。
       長い寿命、完全な魔因子(まいんし)
       古代人の血を絶やさないために、エルフ同士で結ばれてきた。

       兄さんは……ハーフエルフを認められない。

ジェイク:はっ。
     下等な人間の血の混ざった子なんざ要らねえってか。
     あの族長には、温かい血が通ってやがんのか。

エレンウェ:……この子は魔晶核(ましょうかく)を持たない。
      私と同じ樹霊使い(ドルイド)にはなれない。

ジェイク:魔心臓(ましんぞう)は受け継げるんだろ。
     十分じゃねえか。大天才だ。
     俺が、俺たちが立派な魔導師にしてやるさ。

エレンウェ:…………

ジェイク:エレンウェ?
     ……後悔してるのか?

エレンウェ:ううん。
      ……不安なだけ。
      私、トゥルードの森から出たことなかったから。

ジェイク:…………

     安心しろ。
     俺がお前を幸せにしてやる。
     もちろん腹ん中の子も一緒に。

エレンウェ:うん。

       ジェイク、好きよ。

ジェイク:俺もだ、エレンウェ。

      愛してる。


□3c/二十五年前〜深々と冷え込む冬雪の朝〜


(冬空の雲が深々と小雪を降らし、森を白い冬に化粧う)
(雪景色となった野原に、向かい合う人影が二つあった)

ジェイク:俺は……戦ったよ……
     戦って、戦って、斬り捨ててぶち殺してやった……
     エレンウェの魔晶核を狙うクズ野郎どもを……

クーサリオン:…………

ジェイク:だけど、あのゴロツキ魔導師……
     あいつはハンパじゃなかった……
     元は宮廷魔導師だったとかいう凄腕だ……

     なぁ、あんたにゃわかるか?
     狩りで獲った鹿でも持ち帰るように、エレンウェの死体を担がれて連れ去られる……

     俺は、俺は……
     そんな時、地べたに這いつくばって、泣きべそ掻いてるしかなかったんだよぉぉっ……

クーサリオン:…………
        エレンウェ……妹よ……

ジェイク:すまねえ……
     デカい口を叩いといて、俺はあんたの妹を守れなかった……

クーサリオン:……私たちエルフの魔晶核は、人間には扱い辛く希少性も低い。
        それでも狙う輩は後を絶たず、一族もたびたび襲われている。

        ……覚悟はしていた。
        私も、そして恐らくエレンウェも。

ジェイク:……族長。

クーサリオン:…………

        この子はラーライラというのか。
        ……私が預かろう。

ジェイク:すまない……
      俺にゃあ、娘を守ってやる力がない……

クーサリオン:約束しよう。
         この子は、ラーライラは私が守る。

         ただし――
         二度とトゥルードの森に近づかないでくれ。

ジェイク:…………!?

     それは……!

クーサリオン:――察してくれ。
        妹を守りきれず、その娘すら育てられない人間の話を聞く、私の心境を。
        祝福されぬ結婚の末、母を殺され、父に手放されるラーライラの気持ちを。

ジェイク:…………

クーサリオン:さあ、引き取ってくれ。
        此処から先は、エルフの領域。
        人間の立ち入る場所ではない。

ジェイク:ラーライラ!
     ラーライラ……っ!!

     ううう……おおおおおおおっっ!!!


□3d/回想を語り終えた、エルフの里


モルドレッド:……それでラーライラの父上は?

クーサリオン:わかりません……
        ラーライラに緑の花冠(フェアリー・ディアナ)を渡した後、
        一度も姿を現すことはありませんでした。

パーシヴァル:当時二十代として、三十五年経ってるから――
         生きてたら、初老の年代に差し掛かってるね。

クーサリオン:人間の寿命は、花のように短い。
        彼の季節はもう、死を間近にした冬なのだ……

モルドレッド:…………

クーサリオン:ラーライラは、エレンウェによく似ている。
        針葉樹のように直情で無愛想。
        しかし幹には幾つもの罅割(ひびわ)れを抱えている。

モルドレッド:…………

パーシヴァル:探してみない、モル?
         ラーライラをさ。

モルドレッド:しかし……
       何を話せと……

パーシヴァル:ぶっつけ本番。
         顔合わせたら、言いたいことも出てくるよ。

モルドレッド:う、うーん……

(三人の話を断ち割るように、樹林が倒壊する地響きが轟く)
(樹木の幹を踏み潰す足音が、威圧感を従えて迫ってきた)

クーサリオン:何だ……!?

パーシヴァル:見てよ、あれ!

モルドレッド:……ドラゴン、だと!?



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